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2014.05.13

超常現象担当高松の「超常と現(うつつ)の間(はざま)」 第三回「霧が晴れたら、怪談をしよう」

「ヒュッテは夜嗤う」
怪談といえば山。昼も夜も山は怪異に溢れています。
白駒池をご存知ですか。

長野県南佐久郡八千穂村、北八ヶ岳の原生林に囲まれた、高地にある天然湖としては日本最大の湖です。

国道から歩いて15分程度でたどり着けるという便の良さ、さりとて一歩足を踏み入れたならば原生林さながらの緑と苔と清涼な湖水が我々を迎えてくれます。

特に苔については485もの種類が生息し、日本蘇苔類学会から「日本の貴重なコケの森」に選定されたほど。歩道代わりに敷かれた板の上を歩きながら、澄んだ空気と一面の苔に包まれているとまさに心が洗われます。

実はこの白駒池、綾辻行人さんの『霧越邸殺人事件』に登場する「霧越湖」のモデルにされたそうです。

閉ざされた「吹雪の山荘」、繰り返される「見立て殺人」、登場人物を暗示するかのような調度品の数々、本格ミステリの要素をこれでもかと詰め込みながら、それでいて最後の余韻は読者の手からするりと逃げていく、名作です。

私は学生時代に一度、「かの霧越湖はいかに」と居ても立ってもいられなくなり訪れたことがあるのですが、「湖水の温度が高いため、気温との温度差で良く発生する」という「霧越湖」さながらの霧は、残念ながら出ていませんでした。

雨降りすぼる初秋の頃、薄い靄のなか、人っ子ひとりいない湖岸を腕をさすりながら、忘我の心地でとぼとぼと歩いたのをうっすら覚えています。

さてさて話は変わって、霧と言えば、こんな話があります。

丹沢連峰の霧に包まれた尾根道を歩くなか、目に入るのは先を進む親子連れの背中。つかず離れず歩んでついに山頂にたどり着かんとしたその時、前の親子は足を止めた。声をかけつつ追い越したその時、見たものは…。

「幻惑の尾根」。「山の怪談」を書き続ける安曇潤平さんの『ヒュッテは夜嗤う』から。

もうひとつ。

阪神・淡路大震災の直後、混乱する被災地で警備会社の社員が霧の中に見た信じられない光景。

「霧」。実話怪談の新たな時代を切り開いた木原浩勝さん+中山市朗さんの『新耳袋 第九夜』から。

現代の都市部で生活していると、目もやらぬ深い霧に遭遇する事はそうそうありませんが、だからこそ思わぬところで霧に包まれると、人は普段見えないものを「視る」のかもしれません。

さてもうひとつ、どちらかといえば超常現象になるのでしょうが、その結末はまさに怪談かホラーな話。

第二次世界大戦中の1943年、アメリカ海軍は東海岸のフィラデルフィア港において、ドイツ潜水艦「Uボート」から船舶を守る為の新兵器の極秘実験を行った。駆逐艦エルドリッジに取り付けられた、レーダーから船を消し去る強力な磁場発生装置にスイッチが入れられると、どこからともなく緑色の霧が・・・。霧に包まれたエルドリッジは、じわじわと虚空に消えていった。

騒然となる中、再び同じ位置に姿を現したエルドリッジ。しかしその船内では恐るべき惨状が繰り広げられていたのだった・・・。

世に言う「フィラデルフィア事件」です。濱田政彦さんの『彼らはあまりにも知りすぎた』などにも触れられていますのでご興味のある方はどうぞ。

最後に霧のホラーと言えばコレ、という作品をひとつ。

ステーヴン・キング氏の中編、その名も「霧」です。

嵐が明けたその日、街は異様な「霧」に包まれる。霧の奥から立ち現れる異形のモノ。恐怖により徐々に失われていく秩序。スーパーマーケットに閉じ込められた人々が、一縷の望みをかけて「霧」からの脱出を図る。パニックホラーの王道を行く作品です。

2007年に「ミスト」という題名で映画化されたので、そちらで観たと言う人も多いかもしれません。

原作付きの映画ではよくあることですが、この作品も原作と映画の結末が異なっています。

かなり結末の方向性が違うので、比べてみるのも面白いかもしれません。どちらが好みか(嫌いか)でその人のホラー感が分かるかも。もちろん原作も映画もどちらも面白い、というかどちらも怖いです。

ちなみに私は原作の結末がとても、とても好きです。

《コラムで紹介した池》
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名称:白駒池
所在地:長野県南佐久郡佐久穂町・小海町

《コラムで紹介した商品》
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