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2014.05.15

書泉グランデ3階担当・小林利之の喜劇コラム 第14回 「クレージーの無責任清水港」

「クレージーの無責任清水港」

“次郎長もの”が小説、映画、舞台、講談の題材になっていたのは、
昭和が終わるころまでだったような気がします。
「清水の侠客」、「次郎長親分の元」、「子分の大政」、「小政」、「森の石松」、「桶屋の鬼吉」他の活躍、
「金毘羅代参」や「黒駒の勝蔵」との争いなどの話は、とても面白いものです。
“次郎長もの”は、あらゆるところで題材にされていましたから、
一般大衆は次郎長の登場人物や話しの流れは解っていたんですね。
私も学生の頃、村上元三の名著『次郎長三国志』を読んで、一時侠客ものにハマった時期もありました。
ちなみに、この『次郎長三国志』は昭和29年にマキノ雅博監督によって映画化もされています。
この時、森の石松を演じた森繁久弥が一躍スターダムに駆け上がったんですね。
原作は、全9作に及ぶ人気シリーズにもなりました。

そんな人気の題材、”次郎長もの”にクレージーキャッツを当て込んだのが
今回ご紹介する「クレージーの無責任清水港」です。
クレージーの代名詞ともいえる「無責任」と名の付く最後の作品です。
最後の作品といってもまだクレージーは絶頂期。一つの時代の転換期だったんでしょう。

次郎長一家は次郎長(ハナ肇)、追分三五郎(植木等)、森の石松(谷啓)のいつものトップ3人で
他の4人は端役なんです。 クレージー全員で演じる一家も見てみたかったですね。
「クレージーの無責任清水港」の中でも傑作なのは、牢屋で三五郎と石松が出会い、酒を酌み交わすシーン。
石松のセリフとして有名な「酒飲みねえ、寿司食いねえ」を、三五郎が全て先にしゃべってしまいます。
石松は聞きながら「なんかおかしい」とさかんに首をひねり、
最後に「それ全部、俺のセリフじゃねえか」とつっこみます。
谷啓のリアクションのうまさで、必ず映画館が爆笑の渦に巻き込まれる、名シーンです。

また、劇中で披露される歌にも注目です。
先の牢屋のシーンで三五郎と石松が歌うのが「遺憾に存じます」。
この年の紅白でも歌われたエレキ調の名曲です。
レコードとは違ったアレンジが秀逸で、クレージー映画曲の中でも
喜劇ファンの人気ベスト10には入るのではないでしょうか。

歌は、クレージー映画に欠かせない要素のひとつです。
特に初期は、ミュージカルのように矢継ぎ早に歌い踊るシーンがありました。
クレージーキャッツが出したレコードは数十枚ありますが
昭和36年の「こりゃしゃくだった/スーダラ節」から
昭和41年の「なにがなんだかわからないのよ/シビレ節」まで
A,B面が両方ヒットするほど大衆に歌われていました。
初期から中期にかけては、レコードになった曲が映画でも頻繁に歌われました。
中期以降は映画の中だけのオリジナル曲が多くなってきました。

レコードとはアレンジが違ったり、歌詞が違ったりしていたため、リバイバル上映していた映画館では
小型ラジカセをしのばせて録音するファンまでいたりして・・・。いかに人気があったかがわかりますね。

「クレージーの無責任清水港」は、クレージー映画を量産した坪島孝監督が、
もっとも愛着のある映画と語っています。
クレージーの侠客ぶりと、披露される名曲を是非お楽しみください。

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植木=追分の三五郎、ハナ=清水次郎長、谷=森の石松で描く、
“次郎長”もののパロディ作品。巨匠・小國英雄が脚本を執筆。

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喜劇映画に魅了されてから30数年、ハナ肇とクレージーキャッツを人生の師と仰ぐ
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