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2014.03.16

書泉グランデ3階担当・小林利之の喜劇コラム 第10回 「社長洋行記」

「社長洋行記」

今回は「社長シリーズ」の傑作「社長洋行記」をご紹介します。
この映画の舞台は香港。
以前ご紹介した「香港クレージー作戦」と同時期の公開で、監督も同じ杉江敏男です。
2本見比べてみるのもいいですね。

今回は「サクランパス」という製薬会社が舞台。
のっけから三木のり平扮する営業課長が「社用族」ぶりを発揮して、森繁社長からたしなめられます。
この二人のやりとりも「社長シリーズ」の面白さのひとつです。
「社用族」という言葉。今ではあまり使わなくなりましたが、接待費ばかり使う人のことです。
当時は何かにつけ宴会をやりたがる営業課長のようなサラリーマンがゴマンといたのでしょう。

アジア方面の営業成績が悪かったサクランパスは、商社「椿バスター」に、営業成績を良くするように任せていました。
しかし、とあることから喧嘩わかれ。
自分たちで販路を切り開かねばならなくなったサクランパスの一行は、香港に飛ぶことになります。
香港に行くことになったのは、社長、秘書(小林桂樹)、営業課長。
営業課長は毎日壮行会ばかり開き、土産物のリクエストを受けたりと、香港行きに浮かれ放題。
しかし、出発直前に営業部長(加東大介)が課長の替わりにいくことになり…。
この間の課長の凋落ぶりが、面白おかしく描かれます。

さらに、森繁社長と料理屋の女将の浮気、小林桂樹の香港美人への熱愛、やもめの営業部長・加東大介は小料理屋の女将と良い仲に・・・といったような構図が入れ替わり描かれていきます。まさに大人の喜劇ですね。
私は小学生のころから楽しんで観ていましたが・・・。
「社長洋行記」にはフランキー堺が香港在住の日本人として出てきますが、
これ以降フランキー堺は「社長シリーズ」のレギュラーになります。
必ず怪しい日本語を話すバイヤーといった役どころで、この作品でもペラペラ変な日本語を話します。
加東大介との絡みでは「あんたの日本語聞いてると変ななまりがあるんだけど」「アタシ、チトセフナバシノウマレヨ ホンマニ」と中国人風の言い回しで笑わせます。
このフランキーお得意の芸は、「喜劇マガジン」でも発行される「駅前飯店」や、大映映画の「ラーメン大使」など他の喜劇作品でもみることができます。

「社長洋行記」でフランキー堺がレギュラーになったことで、
「社長シリーズ」のレギュラーに、森繁、小林、加東、のり平、フランキーの5人役者が揃いました。
これ以降、昭和42年の「社長行状記」まで「社長シリーズ」では5人の活躍を観ることができます。

「社長シリーズ」では、社長室に先代の社長の写真が額で飾ってありますが、
その写真には必ず河村黎吉という役者さんの写真が使われています。
河村は古い役者さんで、「社長シリーズ」の原点になった「三等重役」という作品で、社長を演じていました。
その後急逝されてしまいますが、初代の社長として毎回きちんと映像にその顔が出てくるようにしているあたりは、敬意を表してなのか、とてもいい演出だと思いました。
今回のDVDマガジンにはラインナップされてませんが「三等重役」は傑作です!
こちらも是非、機会があれば。


《コラムで紹介した商品》
東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン
No.21
社長洋行記』

1962年公開
発売:2014年1月14日

価格:1,590円(税込)
発売:講談社

“社長”シリーズで初めて海外ロケが導入されたデラックス巨編。
森繁社長率いる桜堂製薬が香港市場開拓に打って出る。

※書泉グランデ3階(神保町)にて好評発売中。
バックナンバーも豊富に取り揃えております。