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2014.02.10

書泉グランデ3階担当・小林利之の喜劇コラム 第6回 「サラリーマン忠臣蔵」

「サラリーマン忠臣蔵」

東宝の代表的喜劇のひとつ、「社長シリーズ」がついに刊行されました。
社長シリーズといえば森繁久弥の社長、秘書の小林桂樹、堅物ですがどこか抜けている部長、加東大介、
「ぱあっといきましょう」と調子のいい営業課長三木のり平。
そして取引先の変なバイヤーがフランキー堺です。
「社長シリーズ」では、毎回設定を変えて巻き起こされる、このメンバーたちの“珍騒動”が描かれます。

今回の作品の「サラリーマン忠臣蔵」は、
「社長シリーズ」が軽妙でハチャメチャな作品として知られるようになるほんの少し前の作品。
三木のり平やフランキーはまだ出演していません。

「サラリーマン忠臣蔵」では、忠臣蔵を会社に当てはめた社会風刺的な表現で描いていることや、
三船敏郎、志村喬、池部良、宝田明といったシリアスな俳優が出演していることもあり、
世間で知られている社長シリーズのイメージよりは比較的落ち着いた雰囲気になっています。

社長シリーズのおかしさは色々ありますが、やはり注目は芸達者なコメディアン森繁と共演者のやりとりです。
特に三木のり平と森繁のやりとりはたまらなく面白く、私は大好きです。
文章でこの面白さを表現するのは難しいですが、
例えば三木のり平が「今夜あたりは新橋の料亭でひとつぱあっとやりますか」とくれば
森繁社長は「何いっとるんだね、君はなにかというと、ぱあっとぱあっとばかりじゃないか。接待費ばかり使いおって」といったように返すやりとり。
森繁独特の言い回しがとても面白いです。これも一種の芸ですね。

もうひとつ面白いのは、シリーズ作品中で毎回描かれる森繁社長の浮気騒動。
浮気相手とうまくいきそうなところで、必ず事件や邪魔ものが現れ、おじゃんになるのがお約束です。
社長夫人役は不動の久慈あさみ。浮気相手は、淡路恵子、新珠三千代が多いですね。
おさわりや口説きのシーンも下品ではなく変ないやらしさもないのは、森繁氏の風格でしょうか。

この浮気騒動と同時に描かれるのが、秘書の小林桂樹の恋愛話です。
こちらはまじめなお付き合いをして順調!・・・といいたいですが、
こちらも社長のスケジュールに振り回されたり、うまくいきません。
ただ、浮気騒動と違い、最後はハッピーエンドになります。

ここで少し余談ですが、小林桂樹と言えばご飯の食べ方ですね。
映画の中の食事のシーンで古今東西1番美味しそうに食べるのは小林桂樹だと思います。
本人の著書によれば、あまり噛まずに飲み込むように食べるようにしているとのことです。
まだ未見の方は是非見て下さい。特に白米が食べたくなりますよ。
ちなみに、今回の「サラリーマン忠臣蔵」では森繁はまだ社長役ではありません。
森繁演ずる役名は大石良雄。赤穂産業という会社の部長です。
大石部長は浅野社長の忠実な部下でしたが、吉良頭取に難癖をつけられた浅野社長は事故死。
かわって吉良が赤穂産業社長に就任します。
大石らが吉良に辞表をたたきつけ新会社を設立するところまでで「サラリーマン忠臣蔵」はおわりです。
この後は「続・サラリーマン忠臣蔵」で。


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